貧乏入門
著者の「貧乏生活」とは、
経済的余裕の有無とは別に、極力お金を使わず、持ち物を少なく、
金銭から自由に暮らせるよう心がけている結果だそうです。
お金のことを考えないですむというのは、私達の最大の幸福感のひとつで、
そうするためには、
それは欲望をコントロールしていくことが必要。
そのやり方がこちらの本に書かれてありました。
持ち物が増えると、心の中が散らかる
つねに心のどこかで、その物のことを考え、
記憶のメモリーを食ってしまう。
とくに所有しながら使っていないものについては、
無駄なメモリーを割くことになるので、なおさら処分すること。
整理整頓や捨てる技術の本が売れること自体、
所有するということの苦痛の現れである。
なぜ、いくら物があっても幸せになれないのか?
私達がほんとうに感知できるのは、「苦」という感覚だけである。
私達が感じる「快」は、もともとあった「苦」が減っている状態を
「快」と情報処理しているだけのこと。
たとえば、苦痛だった仕事が終わると、その「苦」が消えたぶんだけ、
「快」と情報処理しますが、
仕事が終わってヒマになると、
今度はヒマでヒマでしょうがない、という苦痛が出てきます。
今度は、再びしんどい仕事を与えられたときに、
ヒマの「苦」が消えた分だけ「快」と感じます。
すなわち「快」を感じるためには、その前提として「苦」が必要。
物を買う前は、「持ってないので不幸」「持ってない、苦しいよ~」
という感覚が生じ、
その苦しみを解消するために、それを手に入れようとする。
手に入れた瞬間、その苦しみがスーッと消え、
「素晴らしい!」という快感が生じる。
苦が減り、その落差が生じた瞬間だけ、気持ちが良くなる。
つまり物を持つということは、
「一瞬の快のために、新たなノイズと苦しみを背負う」ということ。
消費を促す広告の機能
まず人々にいまのあなたは不幸ですよという
ヴァーチャルな刺激を与えることから始まり、
それによって欲望を引き起こす。
一見幸福を与えているように見せて、実はそうではない。
最初に「ない!どうしよう!」という気持ちをにさせて、苦痛を生じさせ、
「手に入った、苦痛が消えた!幸せだ!」」となるサイクルを作り出している。
幸福になる条件
・集中という精神統一
心が入ってきた情報を勝手に処理し、指令をだしていくのを止める能力、
考えがあれこれ拡散し勝手に回転してしまうのを止める能力、
思考に自分が操られていくのを止める能力を磨く。
欲望を止める
・思い通りになっている
煩悩に支配されず、心を思ったとおりできる。
・迷いがない
一般に、ふつうの生活を送っているひとの心は、
ウロウロさまよっている「疑」という状態。
私達は、「絶対にこれでいい」となかなか思えない。
100%の確信ではない部分が、私たちの幸福を裏から脅かしている。
幸福になるお金の使い方
欲しいものではなく、必要なものを買う
自分にとって必要なものをリストアップし、
お金があってもなくても、買う必要があるものを買う。
豊かさを経験しても、幸せになれないのは、
心そのものに組み込まれた欲望のカラクリがあるから。
欲望のメカニズムを暴いて、突破しよう!
ほんとうに必要でないものを大量生産して、ノイズを増やす、
快にみせかけて、苦を増やす社会の中で、
欲望のノイズを和らげていこう!
私は、今の仕事も暮らしにも満足はしていますが、
こちらの本を読んだ後、
自らの革命を起こしたいという欲望がおこりました。
しかしそれは今の自分と暮らしをもっと良くしたいのに出来ていないという
苦を感じることにもなり、
あとで反動がおこるかもしれませんので、ゆるく実践していきたいと思いました(笑)
筆者の他の本も読んでみます。